犬との暮らしには多くの喜びがありますが、その一方で「吠え続ける」「噛み癖がある」「トイレの失敗が多い」など、さまざまな問題行動に悩まされることもあります。こうした行動の多くは、原因を理解し、適切に対応すれば改善できます。今回は、特に多く見られる犬の問題行動と、その対処法について解説します。
無駄吠え(過度な吠え)

原因と考えられること
無駄吠えは、要求・警戒・不安・ストレスなど、犬の感情表現のひとつです。インターホンや来客に対して吠える場合は「警戒」、飼い主にかまってほしいときの吠えは「要求吠え」に分類されます。
対処法
- まずは吠えるきっかけを特定し、環境から取り除けるものは除く
- 吠えたときに反応せず、静かになった瞬間に褒めてご褒美を与える
- 来客時などは「おすわり」「まて」のコマンドで気をそらす
一貫した対応と無視・ご褒美の使い分けが効果的です。
噛み癖

原因と考えられること
子犬の頃は乳歯から永久歯への生え変わり時期に「ムズムズ」を紛らわせるために噛みます。成犬になってからの噛み癖は、ストレス・恐怖・縄張り意識などが背景にある場合もあります。
対処法
- 噛んでよいおもちゃを与え、噛んでほしくない物には苦味スプレーなどで対処
- 人の手を噛んだ場合は、すぐに「痛い!」と強めの声を出してやめさせる
- 叱るよりも、噛まないで我慢できたときにしっかり褒める
繰り返すことで、「噛まない=良いことがある」と学習させましょう。
トイレの失敗

原因と考えられること
トイレの場所をまだ覚えていない、環境が変わった、トイレシートが汚れているなどが原因です。ストレスや病気によっても失敗が増えることがあります。
対処法
- 失敗を叱らず、成功したタイミングでしっかりと褒める
- 排泄のタイミング(起床後・食後・遊んだあと)にトイレへ誘導する
- においを残さず掃除し、失敗場所に癖がつかないようにする
根気よく繰り返すことが大切です。急に失敗が増えた場合は、病気の可能性も考え、動物病院に相談を。
飛びつき・引っ張り癖

原因と考えられること
飼い主への甘え、興奮、自己主張などが原因です。散歩中の引っ張り癖も、犬が主導権を握ってしまっていることが多く見られます。
対処法
- 飛びついたら無視し、落ち着いてから声をかけて褒める
- 引っ張ったら立ち止まり、リードを緩めてから再スタート
- 「おすわり」や「まて」などのコマンドを日常的に活用する
「静かにしていると良いことがある」と覚えさせましょう。
留守番中の問題行動(遠吠え・破壊行動など)

原因と考えられること
分離不安や退屈によるストレスが主な原因です。長時間の孤独や刺激不足が影響し、家具やクッションなどを噛む行動につながることもあります。
対処法
- 留守番前にしっかり運動させて、体力とストレスを発散させる
- おもちゃや知育グッズを与えて退屈させない
- 短時間の留守番から少しずつ慣らす
日常的に安心できる空間づくりを心がけましょう。
まとめ

犬の問題行動には、必ず何かしらの原因があります。怒るのではなく、まずは「なぜその行動をしているのか」を考えることが解決の第一歩です。そして、対処には一貫性・根気・褒める姿勢が欠かせません。行動が深刻な場合は、早めに専門のドッグトレーナーや動物病院に相談することも大切です。正しい対応で、愛犬との健やかな関係を築いていきましょう。